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勝手に最遊記

勝手に最遊記

Making ―3―

「なっ・・・・!?」
三蔵が今にも発砲しそうな雰囲気を感じ取って、八戒が口を開く。

「ええっと・・。何故、子種が必要なんですか?
訳を話して頂けませんか?」

「ワケを話したら子種をくれる?」
悪戯っぽく鈴麗が迫る。

「ソレは・・・。」思わず戸惑う。

「まぁイイわ。不躾だったし。・・・アタシ達は“山猫族”
この山一帯が縄張りよ。アタシ達は代々、この山で平和に暮らしてきたの。
だけど最近・・桃源郷全体が異変に襲われてから、勝手が違ってきたわ。」

「自我を無くしたとか?」

鈴麗は首を振り、
「いいえ。アタシ達は自我を無くすような低級妖怪ではないわ。
勿論、自我を無くしてしまった娘(こ)達も居たけど・・・。
すぐに縄張りから逃げ出して行った。
・・・・それとは別に、問題が持ち上がったの。
種族繁栄に対しての問題が。」

「もしかしてさ、女ばっかりしか居ないって事とカンケーある?」
悟浄が先程から気になっている疑問を問う。

「ちょっと違うわね。アタシ達は元々女だけで暮らしているの。
男達は別の山で、男だけで暮らしているの。」

「男だけで?うわっ・・むさ苦しいぃ。」
悟浄がゲンナリした顔をする。

鈴麗が苦笑しつつ、
「そうかもね。でもソレが“山猫族”の昔からの掟なのよ。
そして子作りの時期を見計らって、“契りの儀”を行うの。」

「桃花。“ちぎりのぎ”ってなんだ?」
悟空が小声で桃花に聞く。

「え・・・・っと・・・。あはは・・。」
桃花も純真な悟空に教えづらい。
「あ・・後で三蔵に聞いたら?」『保護者なんだし、ねぇ?』

「ところが今回、“契りの儀”が行えなくなってしまった。
アタシ達の縄張りのこの山に、大蛇が大量発生したのよ。」

「・・・・大蛇ぁ??」
悟空が想像できないと言う顔をする。

「そう、大蛇よ。一匹二匹ならともかく・・。この住処から程近い洞穴に、大蛇が大量発生してて、
アタシ達が男達の山へと移動を邪魔しているの。もう、何人も喰われたわ・・。」

「だから、とりあえず手近な男で間に合わせようって訳か?」
軽蔑の眼差しで、三蔵が鈴麗を見た。

鈴麗が三蔵に向かって、燃えるような青銀の眼を向けた。

「悪いかしら?アタシ達にとって、この“契りの儀”の期間を過ぎてしまえば
また何年も待たなければならないのよ?種族の死活問題なんですからね。」

「そのご事情はお察ししますけど・・。でも、僕たちは先を急いでいます。
とても貴女達の子作りに協力するような時間は無いんです。」

八戒の言葉に、鈴麗はゆったりと笑って、
「アラ、大丈夫よ。今回契りを迎える女は50人程度。
アナタ達4人で、一日5人相手にしても・・・2・3日で終わっちゃうわよ。」

「だってよ、一回で妊娠するとは限らねーだろ?」

『さすが悟浄君・・・言う事が違うっ。』
桃花は妙なトコで感心している。

「何のために契りの儀の期間が決まっていると思うの?
絶対に子供が授かるからじゃない。」

「フンッ・・。ようするに、“盛り”なんだろ。」
三蔵が冷たい声で言う。

「まーそうゆう事ね。・・・どう?色んな女が勢揃いで選び放題よ?」
鈴麗がパチンッと指を鳴らすと、大広間に女達が入ってくる。
誰もが20歳前後で、美形揃いである。

「後腐れもないし、男にとっては天国じゃない?」
なまめかしく鈴麗が三蔵達に近づく。

「・・・良かったわ・・・アナタ達がいい男揃いで。」
舐め回すように見る。

「アナタにしても、休息がとれるでしょ?」
桃花を見て、意味深な笑みを漏らす。

「はっ?休息??」

「ナニ、惚けてるの?・・・一人で男4人も相手にしているのって
疲れるでしょ、って言ってるのよ。」

「なっ・・・なんですって・・・!?」
鈴麗の言わんとする所が判って、桃花の顔が朱に染まる。


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